ようこそ。あるいは、ごめんなさい。
ここにあるのは、かつて別の時代を生きたひとりの青年の記憶。
あの日、北の国の片田舎を離れ、友に誘われるまま飛び込んだ街の熱狂。 国を変えたいという純粋な願いは、いつしか激しいうねりとなり、 わたしたちを容赦なく時代のただ中へと連れ去っていきました。
口にできないまま飲み込んだ言葉。 霧の向こうへ消えていった同志たちの面影。 凍てついた朝霧のなか、銃声とともに断ち切られた命。
彼はあの日、白い壁の前で散っていきました。 それから百年が過ぎ、この身体は別のものになったというのに―― あのときの悔恨も、果たせなかった熱情も、行き場を失ったまま、 いまもこの胸の同じ場所で疼き続けています。
わたしは、いまも探しています。 誰もいない街の路地で、もう還らない友の名を心の中で呼びながら。
ここから先は、彼が抱えたまま死ねなかった記憶の欠片。 扉を開ければ、もう元の静寂には戻れません。
それでも、お入りになりますか。